■■【AI液冷シフトの衝撃】イワキ(6237)と帝国電機製作所(6333)

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【AI液冷シフトの衝撃】データセンターの覇権を握る「漏れない」日本株ポートフォリオ戦略

生成AI(ジェネレーティブAI)の爆発的な普及に伴い、世界のテクノロジー市場は大きな変化の局面を迎えています。

米NVIDIAの「Blackwell」などに代表される最先端AIチップでは、計算能力の向上に伴って発熱量も増加しています。従来型の空気による「空冷」だけでは対応が難しい高密度AIサーバーが増え、液体を利用して熱を効率的に運ぶ「液冷」への移行が進んでいます。

実際、TrendForceは2026年8月、AIチップにおける液冷の採用比率が2025年の約33%から2026年には53%、2027年には約60%まで上昇すると予測しています。ただし、これは「AIチップにおける液冷採用比率」の予測であり、「すべてのデータセンターの53%が液冷になる」という意味ではありません。

また、液冷には直接液冷、冷板方式、CDUを利用した循環方式、液浸冷却など複数の方式があります。「液冷=すぐに液浸が主流になる」と単純化するのではなく、まずは高密度AIインフラ全体で液冷化が進み、その中で複数の冷却方式が競争していくと考えるのが適切です。

本記事では、この大きな構造変化を投資テーマとして捉えながら、AIデータセンター関連で注目される日本企業を、単なる「AI関連」という言葉だけではなく、実際の事業内容、業績、競争優位性、株主還元、株価位置などから整理します。

この記事で特に重要なポイント

  • 液冷化はAIインフラにおける重要な構造変化だが、採用率の数字は「AIチップ」ベースで見る必要がある。
  • 液冷関連では、完成品だけでなく、冷板、CDU、ポンプ、配管、接続部品、制御機器など幅広い部品が重要になる。
  • 帝国電機製作所(6333)はキャンドモータポンプという強力な既存事業を持つ一方、現時点でAIデータセンター向け売上が大幅に拡大していると公式に確認できるわけではない。
  • イワキ(6237)はAI・データセンター関連需要を取り込む成長性が魅力だが、すでに株価が大きく上昇しているため、バリュエーションと株価位置には注意が必要。
  • ミスミグループ本社(9962)は液冷ポンプ専業企業ではないものの、AI・データセンター投資による半導体・FA需要を調達プラットフォーム経由で取り込んでいる点が重要。

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1. なぜ「空冷」から「液冷」なのか? 異次元の市場モメンタム

データセンターの熱管理市場で、投資家が液冷に注目する最大の理由は、AIの計算能力向上によってラック単位の発熱密度が急激に高まっているためです。

空冷:成熟市場だが、今後も重要な役割を担う

従来のデータセンターでは、大型ファン、CRAH、CRAC、冷却塔などを利用してサーバーから発生する熱を空気経由で処理する方式が中心でした。

空冷は成熟した技術であり、既存設備との互換性や導入のしやすさという強みがあります。そのため、「液冷が増える=空冷がすぐ消える」わけではありません。

実際には、低~中密度のサーバーや既存設備では空冷が引き続き利用され、高密度AIラックなど、空冷だけでは熱処理が難しい領域から液冷への移行が進むという見方が現実的です。

液冷:AIの高密度化によって需要が急拡大

一方、AI向けGPUやアクセラレータの発熱量が増えるにつれ、熱を空気だけで効率よく処理することが難しくなっています。

TrendForceは2026年8月、AIチップにおける液冷採用比率が2026年に53%まで上昇し、2027年には約60%に近づくと予測しました。

この数字は、AIインフラにおける液冷化のスピードを考えるうえで重要です。

ただし、投資家としては数字の意味を正確に理解する必要があります。

注意したいポイント

「2026年に液冷53%」という数字は、AIチップの液冷採用比率についての予測です。

したがって、「世界のデータセンターの53%が液冷化する」という意味ではありません。

それでも、AI向けの高性能チップほど液冷への依存度が高まるという方向性は、冷却インフラ企業にとって重要な追い風になります。

投資の世界では、すでに成熟している市場よりも、技術転換によって新しい設備投資が急増する市場のほうが、関連企業の売上成長率が大きくなる場合があります。

その意味で、AIデータセンターの液冷化は、日本企業の中でも「目立たないが、重要な部品・装置を供給する企業」を探すテーマとして非常に面白い領域です。


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2. ミスミとキーエンスの対立構造から見えた「FA・調達網の覇権」

AIデータセンターの建設ラッシュは、データセンター内部の冷却設備だけでなく、半導体製造装置、FA機器、精密部品など幅広い産業にも波及します。

その代表例として注目したいのが、ミスミグループ本社(9962)です。

従来のビジネスモデルの違い

■ ミスミ
機械部品、FA部品、金型部品などを、豊富な商品ラインアップと短納期を武器にグローバルで販売する企業。製造機能と商社機能を組み合わせた独自のビジネスモデルを持っています。

■ キーエンス
センサー、測定器、画像処理機器など、自社開発の高付加価値FA機器を中心としたビジネスモデルで、高い利益率を実現してきた企業です。

両社は同じ「FA」という大きな産業領域に属しながら、ビジネスモデルは大きく異なります。

ミスミにとって重要なのは、単に部品を売ることではありません。

「必要な部品を、必要な仕様で、必要なときに、できるだけ早く調達できる」という調達インフラそのものが競争力になっています。

その象徴が、3Dデータから機械部品を設計・見積もり・発注できるデジタル製造サービス「meviy(メビー)」です。

また、中国を含む海外市場では競合企業との競争も激しく、ミスミが永遠に安泰というわけではありません。

したがって、投資家が見るべきなのは「ミスミだから強い」という単純な話ではなく、デジタル調達とグローバル短納期という仕組みが、AI・半導体設備投資の拡大によってどれだけ売上・利益に変換されるかです。


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3. AIインフラ物理層の核心:光トランシーバーと「自動ステージ」の特需

生成AIの処理能力を高めるには、GPUだけでなく、サーバー間・ラック間で大量のデータを高速に移動させるネットワークインフラが必要です。

その中で重要な部品の一つが、電気信号と光信号を相互変換する光トランシーバーです。

光トランシーバーの製造工程では、高精度な位置決めや光学調整が必要となるため、精密なステージや自動化設備への需要が生まれます。

ここでミスミグループ本社の強みが出てきます。

ミスミは子会社の駿河精機などを通じて、精密位置決め関連の製品・サービスを展開しています。

そして2026年7月31日に発表された2027年3月期第1四半期決算では、連結売上高が前年同期比32.3%増、営業利益が85.3%増となりました。

会社側は、AI関連投資を背景として拡大したデータセンター・半導体関連需要を取り込んだことを説明しており、データセンター投資の拡大を捉えて自動ステージの追加増産投資も決定しています。

ここは、単なる「AI関連というテーマ株」ではなく、実際の決算数字にAI・データセンター需要が表れている点で重要です。

競合他社との勢い比較

自動ステージや光学関連の領域では、シグマ光機(7713)なども注目されます。

シグマ光機は光学・レーザー関連の技術力を持つ企業であり、AI・半導体関連の設備投資拡大から恩恵を受ける可能性があります。

一方、ミスミの強みは、特定製品だけではなく、幅広いFA・機械部品をグローバルな調達ネットワークで供給できる点にあります。

ミスミの勝ち筋

AI・半導体設備投資が増えるほど、設備メーカーは「特殊な一品」だけでなく、大量の機械部品、FA部品、精密部品を短期間で調達する必要があります。

ミスミは、この「調達の面倒くささ」をデジタル化し、短納期で解決することを競争力にしています。


4. プロの眼:中国に真似されて終わらない「高い参入障壁」の正体

液冷市場を見る際、完成品の冷却システムだけを見ていると、競争構造を見誤る可能性があります。

液冷システムには、冷板、マニホールド、CDU(Coolant Distribution Unit)、ポンプ、配管、クイックコネクタ、制御機器など、さまざまな部品が使われます。

投資家として面白いのは、その中でも高い信頼性が要求される部品です。

1. 高い信頼性が求められる

AIデータセンターでは、冷却設備の停止がサーバーの温度上昇やサービス停止につながる可能性があります。

そのため、単純に「安いポンプ」であれば採用されるわけではありません。

ただし、ここで注意したいのは、「GoogleやMicrosoftなどが日本製部品しか採用しない」と断定することはできないという点です。

実際のデータセンターでは、米国、欧州、台湾、中国、日本など、さまざまな企業がサプライチェーンを構成しています。

したがって日本企業の強みは、「日本製だから独占できる」というよりも、長年の化学・半導体・産業設備などで培った信頼性、品質管理、特殊流体への対応力にあると考えるべきです。

2. 素材・耐薬品性という見えにくい壁

液冷では、冷却液の種類、温度、圧力、腐食性、材料適合性などを考慮する必要があります。

そのため、単純に「金属や樹脂の形状をコピーすれば同じ製品になる」というわけではありません。

ただし、ダイセル(4202)がAI液冷向け特殊素材で独占的な地位を確立しているといった主張については、現時点で公開情報だけから断定するのは適切ではありません。

素材企業については、実際の採用実績、製品仕様、顧客、売上への寄与などが公式に確認できた段階で評価する必要があります。

3. 帝国電機製作所のキャンドモータポンプ

ここで注目したいのが、TEIKOKU(6333)です。

帝国電機製作所は、ポンプとモーターを一体化したキャンドモータポンプを主力製品の一つとして展開しています。

同社の公式サイトでも、キャンドモータポンプを中心とした技術力を長年培ってきたことを説明しています。

過去の会社資料などでは、キャンドモータポンプについて「完全無漏洩ポンプ」として世界シェア4割と紹介されてきた実績があります。

この技術は、化学プラントなど、液体の漏洩を避けたい用途との親和性が高いことが強みです。

ただし、ここでも重要な注意点があります。

投資判断上の重要な注意

帝国電機のキャンドモータポンプが優れた技術を持つことと、「今後AIデータセンター向けに大規模な売上が確定している」ことは別問題です。

現時点で、AIデータセンター向け売上が会社全体の業績を大きく押し上げることを公式資料だけから断定することはできません。

したがって、6333は「AI液冷の確定銘柄」と見るより、強い既存事業を持つニッチトップ企業に、将来的な液冷需要という上振れ余地が加わる可能性がある銘柄として評価するのが適切です。


5. 「クジラ」が先回りした隠れ大本命:TEIKOKU(6333)の全貌

今回のテーマで、イワキ(6237)と帝国電機製作所(6333)のどちらを選ぶかという観点では、両社の特徴はかなり異なります。

イワキは、2026年に株価が大きく上昇したことで市場の注目度が一気に高まりました。

一方、帝国電機は、キャンドモータポンプを中心とした既存事業の収益力・財務基盤を評価しながら、そこにAI・液冷という新しい成長余地を加えられるかどうかがポイントになります。

帝国電機製作所(6333)の株価・指標データ

項目 確認できる内容
8月21日の株価 提示された14時42分時点では3,375円。ただし、その後の東証終値は3,360円として確認されるため、記事中の「3,385円大引け」は修正が必要。
予想PER 8月19日時点で約13.73倍。株価変動により日々変化。
予想配当 2027年3月期は1株132円予想。
予想配当利回り 8月19日時点で約3.93%。
年初来高値 3,540円(2026年8月6日)
年初来安値 2,691円(2026年5月20日)

帝国電機の業績は「AI特需で爆益」という状態ではない

ここは今回の記事で最も修正すべき重要ポイントです。

帝国電機の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比2.1%増となった一方、営業利益は前年同期比27.8%減、親会社株主に帰属する四半期純利益は37.4%減となりました。

通期予想は据え置かれています。

つまり、現時点の決算だけを見ると、「AI液冷特需がすでに業績を爆発させている」とは言えません。

むしろ現在の投資仮説は、

「既存事業が強い企業に、今後AI・データセンター向け液冷需要がどの程度上乗せされるか」

という段階です。

この違いを理解しておくことが、投資判断では非常に重要です。


クジラ(大口株主)の存在は確かに確認できる

帝国電機の2026年3月31日時点の大株主を見ると、GOLDMAN, SACHS & CO. REGが10.37%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が9.90%、GOLDMAN SACHS INTERNATIONALが6.57%などとなっています。

また、外国法人等の保有比率は38.10%です。

これは確かに、海外投資家や金融機関から一定の評価を受けていることを示す材料です。

ただし、ここから「ゴールドマン・サックスがAI液冷特需を目的に買っている」と判断することはできません。

大株主名簿から確認できるのは「誰がどれだけ保有しているか」であって、その投資目的まで分かるわけではないからです。

したがって、「クジラがAI特需を先回りしている」という表現は、ブログでは投資仮説として扱い、事実として断定しないほうが安全です。


6. 帝国電機の「株主還元」が下値を支える可能性

帝国電機を評価するうえで、AI液冷とは別に重要なのが株主還元です。

同社は2025年3月期から2027年3月期までの新中期経営計画期間について、3年間累計の総還元性向100%、うち配当性向50%を目安とする株主還元方針を掲げています。

2026年3月期の年間配当は133円、2027年3月期は132円を予想しています。

このため、株価が大幅に下落した場合には、配当利回りが上昇することで中長期投資家から見た魅力が高まる可能性があります。

ただし、「配当利回りが高いから株価は絶対に下がらない」わけではありません。

業績悪化や市場全体の急落が発生すれば、高配当銘柄でも下落します。

また、現在の株主還元方針は「総還元性向100%」であり、必ずしも毎年同じ規模の自社株買いが実施されることを意味しません。

したがって、現時点では「強力な株主還元方針は確認できるが、直近に新たな大規模自社株買いが実施されていると断定する材料は確認できない」と整理するのが適切です。


7. 「イワキ」と「帝国電機」はどちらが面白いのか?

比較項目 イワキ(6237) TEIKOKU(6333)
株価位置 2026年8月に急騰後、大きく調整 年初来高値3,540円近辺から比較的落ち着いた位置
成長期待 高い 既存事業+液冷上振れ余地
市場評価 すでに高まりつつある 比較的低い
信用需給 2026年8月14日時点で信用倍率0.91倍 2026年8月14日時点で信用倍率5.30倍
信用売り残 118,900株 6,600株
信用買い残 108,500株 35,000株
踏み上げ余地 比較的大きい 売り残そのものが少なく、限定的
配当 2027年3月期予想92円 2027年3月期予想132円
投資イメージ 成長・モメンタム型 割安・財務・配当+将来の上振れ型

信用需給だけを見ると、両社はかなり性格が違います。

イワキは2026年8月14日時点で信用倍率0.91倍、信用売り残118,900株、信用買い残108,500株です。

これは、信用売り残のほうが信用買い残より多い状態であり、株価上昇時には空売りの買い戻しが上昇を加速させる可能性があります。

一方、帝国電機は信用倍率5.30倍、信用買い残35,000株、信用売り残6,600株です。

帝国電機は信用買いのほうが多いため、信用需給だけで見ると「踏み上げ爆発型」ではありません。

つまり、イワキは「需給による爆発力」、帝国電機は「企業価値と将来の上振れ余地」という違いがあります。


8. 【実践】1,000万円を運用する場合のポートフォリオ配分案

ここでは、AI液冷テーマを中心に1,000万円を運用するという仮定で、考え方を整理します。

ただし、以下は特定銘柄への投資を保証するものではなく、リスク管理を考えるためのモデルケースです。

パターンA:尖った利益の「伸び率」を狙う布陣

AIインフラの成長率をできるだけ取り込みたい場合は、液冷・FA・データセンター設備など、異なる場所から恩恵を受ける企業を組み合わせます。

モデル配分

■ TEIKOKU(6333):30%
既存のキャンドモータポンプ事業を土台とし、液冷・データセンター関連需要の上振れを狙うポジション。

■ イワキ(6237):30%
すでに市場評価が高まった一方、液冷関連需要の成長性を取り込む成長枠。

■ 高砂熱学工業(1964):40%
データセンターの空調・設備工事など、より広いインフラ投資の恩恵を狙う分散枠。

この組み合わせのメリットは、液冷ポンプだけに賭けないことです。

AIデータセンター投資が続けば、冷却機器だけでなく、空調、電源、建設、設備工事、FA、半導体製造装置などにも需要が波及する可能性があります。

パターンB:大型株を組み込んだバランス型

より分散を重視するなら、ニデック(6594)などの大型企業を組み込む方法もあります。

モデル配分

■ TEIKOKU(6333):30%

■ ニデック(6594):30%

■ 高砂熱学工業(1964):40%

ニデックは2026年6月、最大300kWの冷却能力を備えたIn-Rack CDUのプロトタイプを発表しています。

また、富士通、Supermicro、ニデックの3社は、データセンターのエネルギー効率向上に向けた協業を発表しており、ニデックの液冷関連事業は「単なるテーマ」ではなく、実際の製品開発・協業まで進んでいる点が特徴です。

ただし、ニデックは事業規模が非常に大きいため、液冷事業が成長しても、それが会社全体の利益にどれほど影響するかを確認する必要があります。


9. プロの投資家が重視する「テーマ」より「数字」

AI液冷というテーマは非常に魅力的です。

しかし、投資で最も重要なのは、最終的に「そのテーマが企業の売上と利益にどれだけ変わるのか」です。

ここを間違えると、「AI液冷関連」というだけで株価が上昇した企業を高値で買い、実際の業績が追いつかなかったときに大きな損失を抱える可能性があります。

したがって、今後チェックしたいポイントは次の5つです。

  1. 液冷関連製品の受注が増えているか
  2. 売上高・営業利益に液冷需要が表れているか
  3. 会社がデータセンター向け需要について具体的に説明しているか
  4. 設備投資を増やしているか
  5. 受注残高や営業利益率が改善しているか

特に帝国電機については、今後の決算でAI・データセンター関連の需要がどの程度数字に反映されるかが重要です。

これが確認できれば、「期待先行」から「業績裏付け型」の評価へ移行する可能性があります。


10. 投資家へのアドバイス:本日からの行動指針

1. 一気に全額を投入しない

テーマ株は、良い材料が出ても株価が一直線に上昇するとは限りません。

むしろ、テーマが注目されているほど、短期間に大きな値幅が発生します。

そのため、資金を3回程度に分けて投入する方法が考えられます。

段階 資金配分 考え方
第1回 30%程度 現在値または重要な支持線付近で打診
第2回 30%程度 調整局面で追加
第3回 40%程度 市場全体の急落など、大きな押し目に備える

2. 指値を利用する

帝国電機のように1日の出来高が大型株ほど多くない銘柄では、成行注文を多用すると、自分の注文によって約定価格が不利になる場合があります。

特に株価が急落した場面では、焦って成行で買うよりも、チャート上の支持線や心理的節目を確認して指値を利用するほうが、冷静な売買をしやすくなります。

3. 「AIだから買う」ではなく「AI需要が利益に変わったら買う」

これが今回の記事で最も重要な結論です。

テーマ先行で買うのであれば、期待値が高い分、株価変動も大きくなります。

一方、実際の受注・売上・利益の伸びが確認できてから買えば、株価がすでに上昇している可能性はありますが、投資判断の確度は高まります。


11. TEIKOKU(6333)を「隠れ本命」と見るなら、何を確認すべきか

帝国電機を今後のAI液冷テーマにおける「第2波候補」として見るのであれば、次の決算が非常に重要になります。

今後のチェックリスト

  • ポンプ事業の受注高
  • 海外売上高の伸び
  • 営業利益率
  • キャンドモータポンプの受注環境
  • データセンター・半導体・エネルギー関連の具体的な受注説明
  • 設備投資額
  • 営業キャッシュフロー
  • 自己株式取得の実施有無
  • 信用買い残の増減
  • 3,540円の上場来高値を更新できるか

特に「株価が3,540円を超えるか」だけを見るのは不十分です。

本当に重要なのは、3,540円を突破したあとも、出来高を伴って上昇を維持できるか、そして次の決算で業績が追いついてくるかです。

株価だけ先に上がり、業績が追いつかなければ、再び「期待剥落」の売りが出る可能性があります。


12. 最終結論:イワキと帝国電機、どちらを選ぶか

結論として、現在の2社は「どちらが絶対に上」ではなく、狙う値上がりの種類が違います。

イワキ(6237)は、すでに液冷関連への市場評価が進んでおり、業績・テーマ・信用需給の組み合わせから、短期的な値動きの爆発力を狙いやすい銘柄です。

一方、TEIKOKU(6333)は、強力な既存事業、キャンドモータポンプというニッチトップ技術、海外投資家を含む株主構成、総還元性向100%を目標とする株主還元方針などを背景に、比較的落ち着いた企業価値評価に加えて、将来的な液冷需要の上振れを狙う銘柄と考えるほうが適切です。

イワキを選ぶ投資家

「AI液冷の成長がすでに業績に表れ始めている企業を買いたい」「信用売り残による踏み上げを含め、短期的な値幅も狙いたい」という投資家には、イワキのほうが向いています。

TEIKOKUを選ぶ投資家

「すでに急騰した銘柄を追いかけるより、強い既存事業を持ちながら、今後の液冷需要という上振れ余地を持つ企業を安いバリュエーションで仕込みたい」という投資家には、TEIKOKUのほうが面白い存在です。

ただし、TEIKOKUについては、現時点で「AIデータセンター特需がすでに業績へ大きく寄与している」とまでは確認できません。

そのため、現在の投資仮説は、

「世界的なニッチトップ企業としての既存価値」+「AI液冷という将来のオプション」

と考えるのが最も合理的です。


13. 「テンバガー候補」を探すうえで本当に重要な視点

投資の世界では、「AI関連」「液冷関連」というテーマだけで銘柄を選ぶのではなく、次の条件がそろっている企業を探すことが重要です。

  1. 市場そのものが高成長している
  2. その市場で高いシェアまたは独自技術を持つ
  3. 競合が簡単に価格競争を仕掛けにくい
  4. 売上成長率が市場成長率を上回る
  5. 営業利益率が改善する
  6. 設備投資によって生産能力を増やしている
  7. 株主還元によって資本効率を高めている
  8. 株価にまだ過度な期待が織り込まれていない

この観点で見ると、

イワキ=「すでに数字が動き始めている成長株」

TEIKOKU=「強い既存事業に液冷という新しい成長オプションを持つ企業」

という整理ができます。

そしてミスミは、ポンプメーカーではないものの、AI・半導体投資の拡大をFA・精密部品・デジタル調達という別のルートから取り込む企業です。

つまり、この3社は同じAIテーマでも、利益を得る場所が違います。


14. まとめ

AIデータセンターの液冷化は、単なる一時的な流行ではなく、AIチップの高性能化・高発熱化に伴う構造的な変化になる可能性があります。

2026年8月時点でTrendForceがAIチップの液冷採用比率を53%と予測していることからも、高密度AIインフラでは液冷の重要性が急速に高まっていることが分かります。

ただし、投資家が注意すべきなのは、

「液冷市場が伸びる」

「その会社の利益が伸びる」

は同じではないということです。

液冷関連企業を選ぶなら、テーマ性だけでなく、実際の受注、売上、営業利益、設備投資、利益率、株主還元まで確認する必要があります。

その観点から見ると、ミスミは2026年7月発表の第1四半期決算で、AI関連投資を背景としたデータセンター・半導体関連需要を取り込み、売上高32.3%増、営業利益85.3%増という明確な数字を出しています。

イワキは液冷関連への市場評価が進んだことで、すでに株価が大きく上昇しており、今後は業績成長が高い期待値に追いつくかが重要になります。

そしてTEIKOKUは、現時点でAI液冷特需が業績に大きく表れているとは言えませんが、キャンドモータポンプという強力な既存事業を持ち、株主還元にも積極的な企業です。

したがって、TEIKOKUを狙う場合は、

「AIだから買う」のではなく、

「既存事業の強さを買い、AI液冷の業績上振れを待つ」

という考え方が、最も冷静な投資戦略になります。

AI液冷という巨大なテーマの中で、本当に大きな株価上昇を狙うのであれば、最終的には「市場規模が伸びる企業」ではなく、「市場の成長率以上に利益を伸ばせる企業」を探すことが重要です。

そして、その答えが次の決算で数字として表れてくるかどうかを確認することが、テーマ投資を投機から投資へ変える最大のポイントになります。


参考情報・確認した主な一次情報

  • TEIKOKU(6333)公式IR:株式情報・大株主情報・株主還元方針
  • TEIKOKU(6333)公式IR:2026年3月期決算および2027年3月期業績予想
  • ミスミグループ本社(9962)公式IR:2027年3月期第1四半期決算説明資料
  • ニデック(6594)公式発表:最大300kWのIn-Rack CDUプロトタイプ
  • ニデック・富士通・Supermicro:データセンターのエネルギー効率向上に向けた協業発表
  • TrendForce:2026年のAIチップ液冷採用比率53%、2027年約60%という予測

記事掲載時の注意

株価、PER、PBR、信用残、信用倍率などは日々変動します。記事内の株価・信用需給データには基準日を明記し、更新時には最新データへ差し替えてください。

また、「AI液冷関連」という分類には、公式にデータセンター向け売上を開示していない企業も含まれます。したがって、企業が公式に開示していない採用実績・顧客名・売上規模などを推測で断定しないことが重要です。

本記事は投資判断の参考情報を提供するものであり、特定銘柄の売買を推奨・保証するものではありません。投資判断は最新の決算資料、適時開示、株価、信用需給などをご自身で確認したうえで行ってください。