NISAの成長投資枠で国内のAI関連株に投資したいものの、「どの銘柄を選べばよいのか」「AI関連というだけで買っても大丈夫なのか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
AI関連株を選ぶときは、単に話題性だけを見るのではなく、AI需要が実際の売上や受注に結び付いているか、世界シェアの高い製品を持っているか、PERやPBRが割高ではないかを確認することが重要です。
この記事では、2026年7月29日時点の公開情報をもとに、NISA成長投資枠で購入を検討できる国内AI関連株の中から、信越化学工業、住友ベークライト、日東電工、三菱ガス化学の4銘柄を厳選しました。参考監視銘柄としてTOWAも取り上げます。
各銘柄のAI関連性、世界シェア、予想PER、PBR、業績、財務状況、投資リスクを比較するとともに、投資可能額70万円を想定した安定重視型・AI成長重視型・割安重視型の参考ポートフォリオも紹介します。
この記事でわかること
- NISA成長投資枠で注目したい国内AI関連株
- AI関連性と世界シェアを確認するポイント
- PER・PBRから見た各銘柄の割安性
- 各社の業績・財務状況と主な投資リスク
- 投資可能額70万円の参考ポートフォリオ
- 今すぐ買う銘柄と決算を待ちたい銘柄の違い
なお、本記事は特定銘柄の購入や利益を保証するものではありません。株価や業績予想は変動するため、購入前には企業の最新IR資料と証券会社の注文画面を必ず確認してください。
調査基準日:2026年7月29日
株価は原則として、確認できた2026年7月28日の終値を使用しました。日東電工だけは7月28日の正式な終値を取得できなかったため、7月27日終値を使用しています。
投資可能額70万円、初回投資は最大50万円、待機資金20万円以上、1銘柄21万円以内を原則とする条件で検証しました。
国内上場株式は原則としてNISA成長投資枠の対象ですが、監理・整理銘柄は対象外です。今回の5銘柄は、確認時点のJPX「監理・整理銘柄一覧」には掲載されていません。
ただし、実際の注文時には証券会社の画面で「NISA成長投資枠」を選択できることを再確認してください。
NISA成長投資枠で注目したい国内AI関連株の調査結果

今回、条件との一致度が高かったのは、信越化学工業、住友ベークライト、日東電工、三菱ガス化学の4社です。
- 信越化学工業(4063)
- 住友ベークライト(4203)
- 日東電工(6988)
- 三菱ガス化学(4182)
TOWA(6315)はAI関連性と世界シェアでは非常に強いものの、現在のPERでは割安株と判断しにくいため、参考監視銘柄としました。
国内AI関連株の比較一覧
※2026年7月28日の終値を使用
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| 順位 | 銘柄 | 株価基準 | 予想PER概算 | PBR概算 | 100株購入額 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 信越化学工業 | 5,872円 | 約20.5倍 | 約2.40倍 | 587,200円 | 有力候補 |
| 2 | 住友ベークライト | 6,297円 | 約19.4倍 | 約1.59倍 | 629,700円 | 有力候補・決算待ち |
| 3 | 日東電工 | 3,451円 | 約16.5倍 | 約2.03倍 | 345,100円 | Q1精査後の候補 |
| 4 | 三菱ガス化学 | 4,003円 | 約16.9倍 | 約1.21倍 | 400,300円 | 割安・回復確認型 |
| 参考 | TOWA | 2,538円 | 約27.2倍 | 約2.70倍 | 253,800円 | 監視候補 |
※PER・PBRは、取得できた最新株価と会社予想EPS・直近BPSを使った概算です。市場予想PERとは異なる場合があります。
第1位:信越化学工業(4063)
総合判定
- 総合得点:84点
- 投資判断:有力候補
- AI関連度:高
- 世界シェア:非常に強い
- 財務安全性:非常に高い
- 割安性:中程度
- 想定保有期間:5年以上
AI関連性と世界シェア
信越化学は、AI半導体を含む半導体の基板となるシリコンウエハーで世界トップシェアを持ちます。
シリコンウエハーだけでなく、フォトレジスト、マスクブランクス、封止材料など、AI半導体の複数工程に関係する材料を供給しています。
2027年3月期第1四半期は、売上高6,624億円、営業利益1,737億円、純利益1,308億円で、前年同期比ではそれぞれ増収増益でした。
会社はAIデータセンターや関連インフラへの大型投資が進展したと説明しています。営業利益率は26.2%、年換算ROICは15.0%、ROEは11.6%です。
信越化学工業の割安性
7月28日終値は5,872円です。会社予想EPS286円を使用すると、予想PERは次のようになります。
5,872円÷286円=予想PER約20.5倍
直近BPS2,447.41円を使用すると、PBRは次のようになります。
5,872円÷2,447.41円=PBR約2.40倍
典型的な低PER株ではありませんが、世界トップシェア、高利益率、強固な財務を考慮すれば、極端な割高とは断定できません。
7月28日の終値は5,872円で、7月24日の決算発表後に株価が大きく下落しています。
参考:SBI証券
信越化学工業の財務安全性
自己資本比率は79.0%です。2027年3月期第1四半期末の現金・預金は約1兆6,540億円で、有利子負債を大きく上回っています。
財務面では今回の候補中、最も安定性が高いと評価します。
信越化学工業の主なリスク
- 半導体市況の悪化
- 中国経済の減速
- 塩化ビニル樹脂事業の市況変動
- 円高
- 決算後の株価下落が、将来の利益鈍化を織り込んでいる可能性
信越化学工業の投資判断
企業の質では最有力です。ただし、低PER株ではなく、高品質企業を適正価格で買う候補です。
100株では約58万7,200円となり、70万円の大半を占めます。
したがって、利用する証券会社がNISAで単元未満株に対応している場合に、20~30株程度から分割購入する方法が適しています。
第2位:住友ベークライト(4203)
総合判定
- 総合得点:81点
- 投資判断:有力候補、ただし8月3日の決算確認後
- AI関連度:高
- 世界シェア:非常に強い
- 割安性:中程度
- 財務安全性:高
- 想定保有期間:3~5年以上
AI関連性と世界シェア
住友ベークライトは、半導体封止材で世界シェア1位です。会社推定では世界シェア約40%と公表されています。
AI半導体向けでは、モールドアンダーフィル、顆粒材、2.5D・3Dパッケージ向け材料などを開発・販売しています。
2026年4月には、生成AI向けの大型・複雑化した先端パッケージに対応する液状封止材の供試を開始しました。
ただし、この液状封止材は現在、供試・認定評価の段階であり、2027年の認定採用を目指しています。現時点で量産採用済みと扱ってはいけません。
参考:住友ベークライト「生成AI向け先端半導体パッケージ用液状封止材」
同社は生成AI需要の拡大を理由に、中国で半導体封止材の生産能力を増強する計画も発表しています。
参考:住友ベークライト「中国における半導体封止材の生産能力増強」
住友ベークライトの割安性
7月28日終値は6,297円です。会社予想EPSは324.84円なので、予想PERは次のようになります。
6,297円÷324.84円=予想PER約19.4倍
直近BPS3,957.19円を使うと、PBRは次のようになります。
6,297円÷3,957.19円=PBR約1.59倍
2027年3月期は売上収益3,370億円、営業利益375億円、純利益285億円を予想しています。
参考:株探「住友ベークライト」
住友ベークライトの業績・財務
2026年3月期は、売上収益3,198億6,700万円、営業利益354億7,800万円、純利益280億1,400万円でした。
営業利益は前期比43.1%増、純利益は45.3%増です。自己資本に相当する親会社所有者帰属持分比率も高い水準にあります。
一方、2027年3月期の会社予想は純利益1.7%増にとどまります。前期のような大幅増益が続く前提では評価しないほうが安全です。
住友ベークライトの主なリスク
- 中国半導体市場への依存
- 米中間の輸出規制・関税
- 新しい液状封止材が顧客認定に至らない可能性
- AI半導体向け材料への競合参入
- 100株では資金が集中する
住友ベークライトの投資判断
世界シェアの根拠が明確で、AI半導体との関係も強い銘柄です。
ただし、2026年8月3日に2027年3月期第1四半期決算が予定されています。現時点で急いで購入するより、決算で半導体材料の売上・利益・受注動向を確認するのが適切です。
第3位:日東電工(6988)
総合判定
- 暫定得点:79点
- 投資判断:最新Q1資料の詳細確認後に判断
- AI関連度:中~高
- 世界シェア:高いが、最新の具体的比率は確認できず
- 割安性:比較的高い
- 財務安全性:高
日東電工のAI関連性
日東電工のCISは、大容量HDDの磁気ヘッドと回路を接続する精密回路基板です。
会社は、生成AI普及に伴うデータセンター向け大容量HDD需要の増加により、CISが堅調に推移したと説明しています。
2022年3月期から2026年3月期までの売上収益は8,534億円から1兆281億円へ増加しています。
営業利益も同期間で1,322億円から1,836億円へ増加していますが、途中年度では減益もあり、一直線の成長ではありません。
日東電工の割安性
最新の完全な終値として確認できた7月27日終値は3,451円です。会社予想EPS209.30円を使うと、予想PERは次のようになります。
3,451円÷209.30円=予想PER約16.5倍
BPS1,704.17円では、PBRは次のようになります。
3,451円÷1,704.17円=PBR約2.03倍
ROEは12.18%、自己資本比率は79.6%で、財務面も安定しています。
日東電工の順位を下げた理由
日東電工は7月28日に2027年3月期第1四半期決算を発表しています。
公式サイトで資料の公開は確認できましたが、今回の取得環境では、公開直後の資料本文を十分に検証できませんでした。
参考:日東電工「最新情報」
そのため、最新Q1の売上高、営業利益、通期予想の修正有無を確認せずに「今すぐ買い」とは判定しません。
日東電工の主なリスク
- AI関連の主力がHDD需要を通じた間接的な恩恵である
- CISFLEXの最新の具体的世界シェア率が公式資料で確認できない
- スマートフォン・ディスプレイ需要への影響
- 最新Q1をまだ評価へ完全反映できていない
日東電工の投資判断
4銘柄の中ではPERが比較的低く、財務も健全です。
最新Q1で通期見通しに問題がなければ、割安性と安定性のバランスがよい候補になります。
第4位:三菱ガス化学(4182)
総合判定
- 総合得点:76点
- 投資判断:条件付き候補
- AI関連度:高
- 世界シェア:非常に強い
- 割安性:高め
- 財務・業績:回復確認が必要
AI関連性と世界シェア
三菱ガス化学のBT積層板・BT材料は、半導体パッケージ基板に使用され、世界シェア1位です。
同社が開発したBT樹脂は、半導体パッケージ基板の耐熱性や電気特性を支える材料です。
低熱膨張タイプのBT材料は、AI半導体の高性能化・高密度化に対応する材料として会社が明確に位置付けています。
三菱ガス化学の割安性
7月28日終値は4,003円です。会社予想EPS236.21円を使用すると、予想PERは次のようになります。
4,003円÷236.21円=予想PER約16.9倍
BPS3,319.36円を使用すると、PBRは次のようになります。
4,003円÷3,319.36円=PBR約1.21倍
今回の候補では、表面的なPER・PBRが最も低い部類です。
参考:株探「三菱ガス化学」
三菱ガス化学で注意すべき点
2026年3月期は、減損損失などの影響で最終赤字となりました。
会社は2027年3月期に売上高8,400億円、営業利益590億円、純利益460億円への回復を予想していますが、現在の低PERは、この業績回復が実現することを前提としています。
参考:三菱ガス化学「業績予想」
つまり、単純な低PER株ではなく、業績正常化を先回りして評価する回復型銘柄です。
三菱ガス化学の主なリスク
- 前期の減損・赤字からの回復が計画どおり進まない
- メタノールなど市況事業の影響
- 半導体材料以外の事業変動
- 原材料価格・為替
- BT材料の競争激化
三菱ガス化学の投資判断
世界シェアと割安性は魅力的ですが、安定性では信越化学や住友ベークライトに劣ります。
次回決算で、以下の点を確認してから投資額を増やすのが適切です。
- BT材料の販売増加
- 電子材料部門の利益改善
- 通期予想の維持
- 営業キャッシュフローの改善
参考監視銘柄:TOWA(6315)
総合判定
- 総合得点:72点
- 投資判断:監視候補
- AI関連度:非常に高い
- 世界シェア:非常に強い
- 割安性:低い
TOWAは、半導体モールディング装置・金型で世界シェア1位です。
AI市場の拡大に伴う高性能半導体や先端パッケージ需要に直接関係します。
7月28日終値は2,538円で、PER約27.2倍、PBR約2.70倍です。
株価は1日で約11%下落しましたが、下落しただけで低PERになったわけではありません。
2027年3月期第1四半期決算は8月6日の予定です。
決算直前であり、予想PERも今回の割安基準を超えているため、現時点では購入候補より決算後の監視候補とします。
投資可能額70万円の参考ポートフォリオ
注意:以下は、単元未満株をNISA成長投資枠で購入できる証券会社を利用する前提です。
金額は、信越化学5,872円、三菱ガス化学4,003円、住友ベークライト6,297円、TOWA2,538円、日東電工3,451円を使った参考計算です。株価は注文時に変わります。
1.安定重視型ポートフォリオ
- 信越化学:20株=117,440円
- 住友ベークライト:25株=157,425円
- 三菱ガス化学:30株=120,090円
合計投資額:394,955円
待機資金:305,045円
信越化学を中心に、世界トップシェアを持つ半導体材料3社へ分散します。
ただし、いずれも化学・半導体材料株なので、一般的な意味で十分に業種分散されたポートフォリオではありません。
2.AI成長重視型ポートフォリオ
- 信越化学:20株=117,440円
- TOWA:50株=126,900円
- 住友ベークライト:20株=125,940円
- 三菱ガス化学:20株=80,060円
合計投資額:450,340円
待機資金:249,660円
TOWAについては、8月6日の決算を確認してから購入する条件付き案です。決算前にはTOWA分を現金のまま残します。
3.割安重視型ポートフォリオ
- 三菱ガス化学:40株=160,120円
- 信越化学:20株=117,440円
- 住友ベークライト:20株=125,940円
合計投資額:403,500円
待機資金:296,500円
PER・PBRが比較的低い三菱ガス化学を多めにします。
ただし、前期赤字からの業績回復が前提なので、40株を一度に買わず、20株ずつに分ける案が安全です。
現時点での投資判断
企業の質を最優先するなら信越化学工業
決算後に株価が大きく下落していますが、AI半導体材料の広い製品群、世界シェア、利益率、財務力は最も強いと判断します。
割安性を最優先するなら三菱ガス化学
予想PER約16.9倍、PBR約1.21倍ですが、業績回復が実現することが前提です。低PERだけで飛び付くべき銘柄ではありません。
世界シェアとAIパッケージ材料を重視するなら住友ベークライト
ただし、8月3日の第1四半期決算後まで待つ判断が合理的です。
割安性と財務のバランスを重視するなら日東電工
7月28日に発表された最新Q1の詳細を確認してから最終判断します。
成長性を優先する監視株はTOWA
AI関連度は非常に高いものの、PER約27倍で割安株とはいえません。8月6日の決算確認を優先します。
NISA成長投資枠で国内AI関連株へ投資する場合の最終結論

現時点で、70万円をすぐ全額投資するのはおすすめしません。
まずは、以下のような少額から始める方法が考えられます。
- 信越化学:10~20株
- 三菱ガス化学:10~20株
- 残りは現金
住友ベークライトの8月3日決算、TOWAの8月6日決算、日東電工の7月28日発表資料の詳細を確認してから、第2回の購入を判断するのが妥当です。
今回の候補はすべてAI・半導体関連の影響を受けます。この70万円が資産全体の大部分である場合は、全額をAI関連株に集中させないことが重要です。
金融庁も、複数の資産へ分散することで価格変動をある程度抑えられると説明しています。
参考:金融庁「資産形成の基本」
免責事項:本記事は公開情報を整理・分析したもので、特定銘柄の購入を推奨したり、将来の利益や株価上昇を保証したりするものではありません。最終的な購入前には、最新の企業IR、当日の株価、証券会社のNISA対象表示、単元未満株の取扱条件を再確認してください。投資判断は、損失が発生する可能性を理解したうえで、ご自身の責任で行ってください。



