「サブスク」の正式な定義は定まっていませんが、月々一定額を支払ってサービスを利用でき、いつでもやめられる、というのが一般的なイメージではないでしょうか。
ところが、最近、「月々〇円」、「月額〇円」等、いわゆる「サブスク」を想起させる広告表示でありながら、実際にはサービス提供期間が終わった後も長期の支払いが残るローン契約であった、高額な中途解約金がかかった等の相談が消費者庁に増えています。
そこで国としては、2022年5月にサブスクリプションに関する 消費者契約法が改正されました。
2022年6月1日からは、改正特定商取引法の施行に伴いサブスク運営業者は、ウェブサイトやアプリでサブスクリプションサービスを申し込む際の『最終確認画面』において契約事項をサービス申込者が簡単に確認できるよう表示する必要があります。
消費者側は、誤認させる表示によってサブスクリプションサービスの申込みをした場合は、契約を取り消せる可能性があります。
しかし・・・
『法改正で定期便やサブスクは解約しやすくなったの?』
『どんな箇所が改正されたの?』
『サブスクの申込時の注意点は?』
『購入前に確認するポイントは?』
など、疑問をお持ちの方も多くいると思います。
そこで今回は、サブスク型の契約の注意点と申込前に確認すべき3つのポイントを徹底解説!更に、月額定額サブスクリプションサービスの消費者契約に関する「改正消費者契約法」の変更点もご紹介します。
・定期便やサブスクで失敗したくない。
・いろいろサブスク比較して検討したい。
・サブスクリプションサービスを解約したい。
サブスクリプションサービスに関する「消費者契約法」とは?
消費者が事業者と契約をするとき、両者の間には持っている情報の質・量や交渉力に格差があります。このような状況を踏まえて消費者の利益を守るため、平成13年4月1日に消費者契約法が施行されました。同法は、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定しています。
また、平成18年の法改正により消費者団体訴訟制度が導入され、平成19年6月より運用されており、平成20年の法改正では、消費者団体訴訟制度の対象が景品表示法と特定商取引法に、平成25年の法改正では、食品表示法に拡大されました。
その後、平成28年、30年には、取り消しうる不当な勧誘行為の追加、無効となる不当な契約条項の追加等の民事ルールの改正が行われました。
そして、令和4年5月25日に開催された参議院本会議で、改正消費者契約法が成立しました。サブスクリプションなどの消費者契約における事業者の努力義務として、解約に必要な情報を提供すること、解約料の算定根拠を説明することを追加しました。
サブスクリプションサービスに関する「改正消費者契約法」の変更点は?
改正された理由は?
変更されたポイントは?
努力義務について定めた第三条に必要情報の提供などを追加しました!
主に契約時のルールを定めた「消費者契約法」で、解約時に関する規定が設けられるのは初めてです!
具体的には?
改正法では、事業者の努力義務を規定した3条に、「解除権行使に必要な情報提供」が盛り込まれた。例えば、消費者がウェブサイト上で契約を解約しようとするが、どこにアクセスすればよいか分かりにくい場合、解約に必要な手順を電話やメールなどで説明することが求められる。今後、解約に際して方法が分かりにくいといった問題が減ると期待されます。
サブスクリプションサービスを運営する業者の3つの表示義務とは?
ウェブサイトやアプリで定期購入できる定期便やサブスクリプションサービスを運営している業者は、HP上の申し込む際の『最終確認画面』において 契約事項をサービス申込者が簡単に確認できるよう表示する義務があります。
※最終確認画面とは?
サブスクリプション契約を含むECにおいて、消費者がその画面内に設けられている申込みボタン等をクリックすることにより契約の申込みが完了することとなる画面が該当します。(注:アプリ経由でのサブスク契約を含む)
2022年6月1日以降、以下のの契約事項を表示する義務があります。
1.提供するサービスの期間・回数等に関する事項
・サービスの提供期間や提供時期を明示(無期限や自動更新である場合には、その旨も)。
・期間内に利用可能な回数が決まっている場合には、その内容を明示。
・どのサービスプランを申し込んでいるかも明示。
2.提供するサービスの料金に関する事項
・支払時期・方法(いつ、いくら支払うのか / どのような方法で支払うのか)を明示。
・無料で使える期間が終了すると自動で有料プランに移行するなど、途中から金額が変わる
場合には“有料プランに切り替わる時期”や“有料プランで支払う金額“を明示。
3.キャンセル・解約に関する事項
・解約等の申出期限がある場合には、いつまでに申し出る必要があるかを明示。
・違約金が発生するなどの不利益が生ずる場合には、その旨と内容も明示。
・キャンセル・解約の方法(連絡方法・連絡先)や条件を明示。特に、申込時と比べて制限
的・複雑な方法である場合には、その旨の最終確認画面への明示が必要。
サブスク型の契約の注意点と申込前に確認すべき3つのポイントを徹底解説!
注意点1つ目:1回限りの購入ですか?
「〇カ月コース」「定期」「自動更新」「無期限」などの表示があれば
2回目以降も届きます。縛り期間(最低利用期間)を確認しましょう。
注意点2つ目:2回目からはいくらですか?
「初回」のキャンペーン価格と「2回目以降」の価格は違います。初回限定キャンペーンの申し込み料金は通常料金よりかなり安く設定されています。2回目以降の料金は小さい文字で表記している場合が多いので必ず確認しましょう。
注意点3つ目:解約の方法は?
1回限りで・簡単に・無料で解約できますか?解約方法は必ず確認しましょう。できれば、メールや電話で解約する業者より、WEBのマイページで解約できる会社を選びましょう。
個別被害の相談はコチラ!
★上記1~3の内容については、改正特定商取引法により、最終確認画面で明確に表示しなけ
ればいけません。令和4年6月1日以降、誤認させる表示により申込みをした消費者は、契約
を取り消せる可能性があります。個別被害の相談は「188」へお問い合わせください。
「サブスク」かと思ったら、長期間の高額な契約だった事例
『公益社団法人日本広告審査機構(JARO)』は12月23日、「サブスク」と誤認されるような長期間の高額契約についての事例を発表して注意喚起を促しました。
JAROでは、契約時には内容をしっかり確認した上で、ネット上で申し込む際には最終確認画面のスクリーンショットを残しておくよう、注意を呼びかけています。
JAROでは「サブスク」を想起させる広告表示として、実際は1年間の契約をクレジットカードで2年にわたり分割払いする契約だったという「ファッションレンタルサービス」と、中途解約しても残存期間の料金を支払う必要があった「家電レンタルサービス」の二つの事例を紹介しています。
【事例1】ファッションレンタルサービス
実際は1年間の契約を、クレジットカードで2年にわたり分割払いする契約だった。
■相談内容
ファッションレンタルサービスのメルマガに登録していたところ「最初の2ヶ月0円キャンペーン、3ヶ月以降実質2980円/月」のメールが届きました。 月額2980円で試せるなら、と思い申し込みましたが、実際には1年間の利用料7万8672円を24回の分割で支払う契約でした。
■解説
メールマガジンおよび公式サイトの表示を確認すると、このキャンペーンについて「はじめの1年間 初回0円+2ヵ月目0円+3ヵ月目以降2980円/月」を強調していました。 ところが、実際は1年契約で、支払総額は税抜7万1520円(税込7万8672円)であることや「3ヵ月目以降2980円/月」は、24回払いにした場合の1回分の税抜きの支払金額であることは、離れた場所に小さな文字で書かれていました。
申込画面でも、「最初の1年間 2ヵ月0円+月々2980円キャンペーン」を太字で強調する一方、契約期間、総額等、詳しい条件はその下に薄い色の小さな文字で表示されており、きわめて視認性が悪いものでした。 支払いはクレジットカードに限られ、消費者は申込画面で支払い回数を選択可能でしたが、各回の支払い額は表示されず、支払い総額も明瞭に認識することができないまま、申込ボタンを押す仕様になっていました。
この契約は割賦販売法の信用購入あっせんのうち、信販会社が発行するクレジットカードを用いる「包括信用購入あっせん」に当たります。 「包括信用購入あっせん」の場合、サービス提供事業者の広告表示義務事項は定められていないとはいえ、料金表示が非常に分かりにくいものでした。 JAROでは景品表示法第5条第2号、消費税法第63条、特定商取引法(以下、「特商法」という)第12条(誇大広告等)、第14条第1項第2号(意に反する申込をさせようとする行為)に抵触するおそれがあることを指摘しました。
【事例2】家電レンタルサービス
中途解約しても残存期間の料金を支払う必要があった。
■相談内容
SNS広告で「家電のサブスク」と表示していますが、実態はいつ中途解約しても残契約期間の分も違約金として支払わせる契約です。少額で必要な時だけ利用できると勘違いさせています。
■解説
SNS広告では「月額780円~初期費用ゼロ サブスクで最新のおしゃれ家電をレンタル」等と表示されていました。リンク先の公式サイトで希望の商品を選択した申込画面には「契約期間5年」、「780円(税込)/月」という表示のみで、諸条件の記載はありませんでした。
さらに商品をカートに入れ、個人情報やカード情報を入力した「ご注文内容最終確認」の画面に「解約違約金が発生する」旨の表示はありましたが、具体的な金額は表示されていませんでした。中途解約金の額を知るためには、サイト最下方のサービス利用規約を開き、さらにその最下部の中途解約金へのリンクを開くと、ようやく「残契約月数×月額利用料金」であることを確認することができました。
JAROでは景表法第5条第2号(有利誤認)、特商法第12条(誇大広告等)に抵触するおそれがあることを指摘しました。
(当事例は2022年5月31日以前の契約)
サブスクリプションサービスの悪い口コミを紹介!
★ここからは、月額定額料金の定期便&サブスクリプションサービスの悪い口コミを紹介していきます!
(👤10代女性 /👤30代男性)
トラブル回避のためにできる事はコレ!
★成年年齢引下げにより、2022年4月から一人で契約ができるようになる18歳・19歳の皆さんは、特に慎重に契約内容を確認しましょう!
まとめ
2022年5月、定額制のサブスクリプションに関する消費者契約法が改正されました。そこで本記事は、定期便やサブスクリプションの消費者契約に関する「改正消費者契約法」の変更点と、サブスクの申込時の注意点、購入前に確認すべき3つのポイントを徹底解説しましたが、実際に解約しやすくなったのでしょうか?
残念ながら、現在の月額定額のサブスクリプション&定期便を運営している各社は、まだまだ、HP上で定期購入の縛り期間(最低利用期間)や解約の手順を大きな文字でわかりやすく明記しているサイトは少ないですね。
特に多いのは、実際にHPに掲載していても文字が小さかったり、初回割引価格が大きい文字で2回目以降が小さい文字で書いていたりしています。
MYページから解約できるサイトは良いとしても、『電話連絡の上、解約手続きをしてください』と明記しているサイトは、何回電話をしても繋がらないという口コミがまだまだ多いです。
そこで、失敗しない選び方としては、サブスクリプションサービスを選ぶ際に、MYページから解約できるサイトを選びましょう。
更に、「最低〇回購入しなければならない」という回数の縛りがない会社を選ぶ事も大切です。
●出典・参考・引用
今後は、ますます役務の通信販売が多様化し、また支払い方法も多様化することでしょう。
消費者は契約内容をしっかり確認し、ネット上で申し込む際には、最終確認画面のスクリーンショットを残しておくようにしましょう。